望む世界は自分でつくる

子どもふたりと暮らすシングルマザーが、自宅の一室をairbnbで貸して、家にいながら多様性に触れる日々を書いています。4期連続airbnbスーパーホスト。

出会って5分の人に自宅の鍵をわたすということ

 

 初めてairbnbでゲストとして宿泊したときのことです。前編はこちら。

homesharing.hatenadiary.jp

 

 

 その日が近づくにつれ、だんだん不安になってきました。実在しない場所だったらどうしよう。寝ている間に身ぐるみはがされて外に出されたらどうしよう。さらにホストから「私と息子はしばらくタイへバカンスへ行くので、あなたが泊まってる日程の何日かは留守なの。私たちのルームメイトに鍵の受け渡しを頼むからよろしくね」とメッセージが来て、ますます不安になりました。年齢も性別も国籍もわからないルームメイトに、私たちの2週間の滞在はかかってる。子ども2人をひとりで連れて旅に出るのも、子どもと一緒に乗り継ぎありで総フライト時間が10数時間に及ぶ旅をするのも初めてです。出発の直前にはなんで行くことにしたんだろう、とすら思っていました。

 

 12㎏の0歳児をだっこひもでくくりつけ、片手は5歳児とつなぎ、もう片方の手で30kgのスーツケースを引きながら、私はデンマークにつきました。空港から公共交通機関で街へ出るパワーはなかったので、タクシーに乗り住所を伝えました。運転手さんに「このあたりにホテルはないですよ」と言われ、「友だちの家なので大丈夫です」と答えます。本当は大丈夫じゃないけど、ここまで来たら行くしかありません。住所のところまで来て「ここで本当にいいんですか?」と聞かれましたが、本当にいいのかどうかもよくわからない。入り口すらよくわからない。でも降りるしかない。教えられた電話番号にかけてみると、女性の声で「すぐ行く」と言われました。重厚なオートロックの扉の向こうから、笑顔の女性があらわれました。彼女は私たちをすぐに部屋の中へ招き入れてくれました。中は暖かかったです。そしてWEBで見た、あのカワイイ部屋があったのです。私は「この旅行はとてもいいものになるに違いない」とその時思いました。

 

 ルームメイトの彼女は、キッチン、バスルーム、リビング、ベッドルームと順番に案内しながら簡単に使い方を説明してくれました。それが終わると「じゃあこれはカギ。出かけるときはかけてね」とカギを手渡すと、自分の部屋に消えていきました。ものの5分くらいの間の出来事です。お互い、名前と国籍くらいしか知りません。その相手に家のカギを渡すという行為が、当時私にはかなり衝撃でした。私が悪い人だったら、どうするんだろう。そんな可能性を考えないくらい、信頼されてるっていうことなんだ。絶対に裏切らないようにしなきゃ、と強く思ったことを覚えています。